2019.09.24 コラム 消費税の納税義務が無かった人も納税義務の必要が出てくるかもしれません
10月1日より消費税が8%から10%へ増税となります。とても大きな変化ですが、それに合わせて、請求書の表示の形式に大きな変更が行われます。その内容は消費税額を表示する請求書について「適格請求書」を作成する必要があり、その「適格請求書」を発行出来るのは、「消費税の納税義務者」(消費税を収めている者)だけになります。
この変更については弊所の8月発行の事務所ニュースでも取り扱っておりますが(ご興味があればHPよりダウンロードしてみてください。)将来的に消費税の納税義務の無い個人事業主(や法人)の方からの物品の購入やサービスの対価の支払いに係る消費税について、消費税の仕入税額控除が受けられなくなる可能性が出てきます。(注1)
詳しく説明しますと、法人(や事業を行っている個人)の場合、納税する消費税については一年間に受け取った消費税額と支払った消費税額を集計計算して差し引きで納税する消費税額を算出します。(注2)
この時、支払った消費税額について、納税義務者で無い方に支払った消費税額は受け取った消費税額から引けなくなってしまうのです。経費として支払った消費税が差し引けなくなるとその分の金額が上乗せされる事となり、ざっくりと言うのであれば支払う側が消費税分を過剰に負担する事になります。
将来の話ではありますが、なかなか大きな負担ではないでしょうか。ではこれを回避する(消費税を差し引ける様にする)にはどうすれば良いのでしょうか?現在、その方法は1つだけで、一番最初に上げました様に「消費税の納税義務者になる」しか無い様子です。
つまり、売上金額が一千万円未満(注3)であっても「消費税の納税義務者」にならなければならないと言う事で、今まで納税義務の無かった人や企業も今後、消費税の納税義務者になる必要が出て来そうです。特に個人事業主の方やフリーランスの方々には手取り収入に直接関係して来ますし、無視出来ない変更なのではないでしょうか。
注1:適格請求書が発行出来ない場合の消費税の取り扱いの今後の流れは以下の通りです。
2023年10月1日~2026年9月30日まで:仕入れ税額の80%
2026年10月1日~2029年9月30日まで:仕入れ税額の50%
2029年10月1日以降:全額対象外
注2:売上金額が五千万円以上の場合です。五千万円未満の場合は売上金額に応じて税額の計算を行います。
注3:現在消費税の納税義務があるのは売上一千万円以上の法人・個人です。