2019.04.03 コラム 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
生前贈与については、原則として1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除額110万円を超えると課税されます。ただし、贈与された財産を教育目的に限定して利用するのであれば、祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、贈与税の非課税制度を活用することで、受贈者一人1,500万円までの資産を非課税で贈与することができます。この教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税については、平成31年度税制改正により、その適用期限を2年間(2021年3月31日まで)延長されることとなりましたが、その要件はいくつか見直されておりますので、ご注意ください。
今回の改正での主な見直し要件は、次の通りです。
①受贈者の所得要件
贈与時の合計所得金額が1,000万円以下である受贈者のみ対象となります。
(2019年4月1日より適用)
②教育資金の範囲
23歳以上のものの教育資金の範囲について、次の使途に限定されます。
・学校等に支払われる費用
・学校等に関連する費用(留学渡航費等)
・学校等以外のものに支払われる費用で、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するために支払われるもの
今まで対象となっていた23歳以上の受贈者が支払う教育訓練給付金の支給対象とならない学習塾、スポーツ教室、文化芸術にかかる教室等の受講費等は対象外となります。
(2019年7月1日以後に支払われる教育資金より改正)
③信託終了による贈与税の課税
30歳到達時、次の要件に該当する場合を除き、その時点の残額に贈与税が課税されます。
・学校等で在学中であること
・教育訓練給付金支給対象である教育訓練の受講中であること
30歳到達時、上記要件に該当していた場合には、その要件に該当しなくなった時点、又は40歳に到達した時点、いずれか早い時点の残高について贈与税が課税されます。
(2019年7月1日以後に受贈者が30歳に達する場合より適用)
④贈与者死亡時残高の相続財産への加算
贈与者の相続開始前3年以内に行われた贈与について、贈与者の相続開始日において受贈者が次のいずれかに該当する場合を除き、相続開始時における残高を相続財産に加算されます。
・23歳未満である場合
・学校等に在学している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
(2019年4月1日以後の贈与者の相続から適用されますが、経過措置として4月1日前に信託された部分の管理残高については相続財産に含まれません。)