2024.12.23 コラム 日本経済2024年予測と結果振り返り
2024年のコラムも最終となりました。皆様にとって今年はどんな年だったでしょうか?
毎年この時期になると日本経済についての来年の予測が様々なところから発表されます。2023年末に公表されていた予測と2024年の実際の経済はどのような結果だったのか振り返ってみましょう。ここでは、対ドル円の為替相場、日本株の株価、実質GDP成長率の3つの指標について見てみましょう。
【全体的な傾向】
• 為替:ドル円相場については、円高・ドル安方向への進行を予想する意見が多かったようです。ただし、その幅については各社で異なっており、120円台まで円高が進むと見る強気な予測もあれば、140円近辺での推移を予想する慎重な見方もありました。
• 株価:多くの証券会社が、2024年の日本株は史上最高値を更新する可能性があると予測していました。2023年の日経平均株価は、年末に向けて各社の予想を上回る水準で推移しており、この勢いが2024年に引き継がれると見られていました。
• 実質GDP成長率:2023年末時点では、多くの金融機関が2024年の日本のGDP成長率について、緩やかな成長を予測していました。内需の回復や輸出の増加などが成長を支える要因として期待されていましたが、海外経済の減速や物価上昇の影響など、懸念材料も指摘されていました。
【為替についての金融各社の予測】
• 三井住友DSアセットマネジメント:緩やかなペースでのドル安・円高を予想。2024年末には138円を予測。ただし、日銀が利上げに踏み切れば、年末120円台もあり得るとの見解を示していました。
• 野村證券:業績予想の前提となる為替レートを145円/米ドルに設定。140円以下に大きく円高が進むと業績に影響が出る可能性を指摘していました。
• みずほリサーチ&テクノロジーズ:2024年のドル円は円高・ドル安を予想。ただし、米債券市場での過度な利下げ織り込みや「有事のドル買い」による円安リスクも指摘していました。
【株価についての金融各社の予測】
具体的な数値予測を公表しているケースはありませんでした。読み取れる範囲で各社の見通しは以下のとおりでした。
• 野村證券:業績予想の前提となる為替レートを145円/米ドルに設定しており、140円以下に大きく円高が進むと業績に影響が出る可能性を指摘。円安が株価を支える要因の一つと考えていました。
• みずほリサーチ&テクノロジーズ:米長期金利の低下が米国株にプラスに働き、日本株にもプラスとなると見ていました。
• 日興アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメント等各社とも具体的な株価水準の言及はありませんでした。
【実質GDI成長率の各社の予測】
具体的な数値目標を公表しているケースは限られますが、情報源から読み取れる範囲で各社の見通しは以下のとおりでした。
• SMBC日興証券:2024年度の実質GDP成長率を+1.4%と予想。インフレ鎮静化から日本経済は回復軌道へ向かうと見ていました。
• ニッセイ基礎研究所:景気が一進一退の状態から抜け出したとは言えないと分析。特に、コロナ禍以降の家計部門の低迷を指摘しています。
それでは予測に対しての結果はどうだったでしょうか?
【対ドル円為替相場】
• 12月20日時点では157.93~156.78円/でした。
• 野村総合研究所では、2024年12月の予想として135〜155円/ドル、その後2025年にかけて130〜150円/ドルと予想しています。
【日経平均株価】
• 12月20日の日経平均株価の終値は38,701.90円でした。
• 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料に、月ごとの日経平均株価のデータが掲載されていました。以下に四半期ごとにまとめます。
o 1-3月期:32,529円(1月),32,486円(2月),37,694円(3月)
o 4-6月期:38,722円(4月),38,095円(5月),38,558円(6月)
o 7-9月期:38,859円(7月),40,103円(8月),36,873円(9月)
o 10-11月期:37,307円(10月),38,844円(11月)
【日本の実質GDP成長率】
• 2024年1-3月期:大幅なマイナス成長(大和総研では年率▲2.4%)。これは、一部メーカーの生産停止による自動車減産などが影響しました。
• 2024年4-6月期:回復局面に入ったとされています。
• 2024年7-9月期:回復基調が継続。みずほリサーチ&テクノロジーズによると、個人消費が増加し、年率+0.9%のプラス成長。
2024年10-12月期:大和総研では前期比年率+2.2%のプラス成長を見込んでいます。
対ドル円の為替相場では利上げも見送りとなり、全般的に予測された円相場は実際の円相場と乖離しているようです。日経平均株価は40,000円越えの史上最高値更新の予測どおりとなりました。実質GDP成長率は、第1四半期のマイナス成長率がひびき、予測の+1.4%には通年では及ばなさそうです。
2025年の日本経済はどのようになるのでしょうか?
2025年が皆様にとって良い年になりますようお祈り申し上げ本稿の結びといたします。