お知らせ

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2024.09.21 コラム 増え続ける空き家 相続は早めの対策を

1.空き家の増加

総務省発表の令和5年住宅・土地統計調査によれば2023年10月1日現在における空き家は900万戸と、2018年と比べ51万戸の増加で過去最高となっており、総住戸に占める空き家の割合も13.8%とこちらも過去最高となっています。空き家の増加は日本の社会問題となっており、少子高齢化や相続問題など様々な要因によって引き起こされています。こういった情勢を踏まえ、政府は令和5年に空家法を改正し、空き家対策をさらに強化しています。

2.空き家を放置することによるリスク

空き家を放置することは所有している本人だけの問題ではなく、近隣住民にまで迷惑をかけることになります。

放置された空き家は損傷しやすく、台風で建物の一部が飛んだり、地震により倒壊したりする危険が高くなります。また、害虫が大量発生したり、ごみの散乱が放置されるなど衛生上や景観上の問題をもたらす恐れがあります。さらには不法侵入者の出入りによる周辺地域の治安の悪化につながる他、立木の枝のはみだし等のリスクもあります。

このように、適切な管理をせずに空き家を放置することは本人のみならず、近隣地域全体に大きな悪影響を及ぼす可能性があるのです。

3.罰則、強制撤去の可能性も…

空家法では、空き家がそのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態などに陥った場合などで市区町村から「特定空家」と認められることがあります。この場合市町村は「助言」や「指導」を行い、それでも改善が見られない場合は「勧告」や「命令」を行います。この命令に従わなかった場合は50万円以下の過料に処される場合がある他、行政による強制撤去等の対応が行われる場合もあります。

4.空家法による勧告を受けると固定資産税の軽減措置は無くなります

住宅用地には固定資産税の軽減措置があり、小規模住宅用地(200㎡以下)の部分で6分の1、それを超える部分で3分の1に課税標準が減額されます。しかし、空家法に基づく勧告を受けた特定空家の敷地等ではこの軽減措置は適用されなくなります

5.空き家を放置しないためには

空き家の発生原因は、半数以上が相続によるものです。親などが元気なうちによく話し合い、相続後の家をどうして欲しいのかなど、考えや思いを聞いておくことが大切です。

また、相続した空き家の売却には税制上の特例措置があります。相続した空き家とその敷地を売却するに当たって一定の条件を満たせば、所得税・個人住民税において譲渡所得から3,000万円までが控除される特例措置を受けることができます。ただしこの特例の期限は令和9年(2027年)12月31日までとなっており、早めの対策が必要です。

6.まとめ

ここまででご紹介したように、空き家を放置することには様々なリスクがあります。

また、税制上の特例措置には期限があり、適用を受けるためには早めの対応が必要です。

空き家を既に所有している方、これから相続等で所有する可能性のある方は、早めに方針を決め、将来発生しうるリスクから、自分、家族、地域の安全を守りましょう。

【参考】政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」