お知らせ

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2024.09.13 コラム 相続土地国庫帰属制度の利用状況

1.相続土地国庫帰属制度とは

 相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。
 このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日から開始しています。
制度の詳細は法務省ホームページ 「相続土地国庫帰属制度について」をご参照ください。

2.相続土地国庫帰属制度の利用状況

令和5年4月に開始した同制度について法務省ホームページに統計が公表されています。

[相続土地国庫帰属制度の運用状況(令和6年7月31日現在)]

総数田・畑等宅地山林等その他
申請件数2,481件930件889件391件271件
帰属件数667件203件272件20件172件
却下件数11件
不承認件数30件
取下げ件数333件

[却下・不承認・取下げの主な理由]

①却下の理由
・9件:現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)に該当した
・2件:境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)に該当した

②不承認の理由
・5件:崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号)に該当した
・12件:土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)に該当した
・2件:民法上の通行権利が現に妨げられている土地(施行令第4条第2項第1号)に該当した
・1件:所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(施行令第4条第2項第2号)に該当した
・1件:災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地(施行令第4条第3項第1号)に該当した
・10件:国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)に該当した
・5件:国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地(施行令第4条第3項第4号)に該当した

③取下げの原因の例
・自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した
・隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった
・農業委員会の調整等により農地として活用される見込みとなった
・審査の途中で却下、不承認相当であることが判明した

上記の運用状況(令和6年7月31日現在)のとおり、申請数2,481件に対し、帰属が認められたのは667件と27%程度にとどまっており、申請にあたり却下・不承認となる場合も想定されます。制度を活用して国に土地を引き取ってもらいたいとお考えの方は、改めて制度の要件を慎重にご確認いただいた上で申請されることをお勧めします。