お知らせ

お知らせ

2024.08.18 コラム 相続土地国庫帰属制度の施行後1年超が経過しましたが…

令和5年4月27日より、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。その背景としては、①土地利用ニーズの低下等により土地を相続したものの手放したいと考える者が増加したこと ②相続を契機として土地を望まず取得した所有者の負担感が増して管理の不全化を招いていること、などが挙げられます。

法務省の集計によると、制度が始まった昨年4月から今年7月末までに国有化された件数が全国で667件(長野県内では11件)にとどまっているそうです。制度の存在を知らない人がまだ多く、周知が課題になっています。以下に「相続土地国庫帰属制度」の概要を記載しますので、思い当たることがある方は法務省のHPで詳細をご確認いただけますでしょうか。

【制度の概要】
管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、以下の要件を設定し法務大臣(地方法務局)が審査を実施します(審査手数料は、土地一筆当たり14,000円です)。
(1) 土地の要件:法令で定められた通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地は不可となります。
① 建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある土地
② 土壌汚染や埋設物がある土地
③ 危険な崖がある土地
④ 権利関係に争いがある土地
⑤ 担保権等が設定されている土地
⑥ 通路など他人によって使用される土地 など
(2) 負担金等:土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金の納付が必要となります。
宅地:面積にかかわらず20万円(ただし、都市計画法の市街化区域 又は 用途地域が指定されている地域の市街地の宅地については、面積に応じ算定(注))
田・畑:面積にかかわらず20万円 (ただし、都市計画法の市街化区域 又は 用途地域が指定されている地域の市街地と、農用地区域等の田・畑については、面積に応じ算定(注))
森林:面積に応じ算定(注)
その他(雑種地、原野等):面積にかかわらず20万円
(注)単純比例ではなく、面積が大きくなるにつれて1㎡当たりの負担金額は低くなります。
令和5年4月27日より前に相続等によって取得した土地についても、本制度の対象となります。例えば、数十年前に相続した土地についても、本制度の対象となります。