2024.01.18 コラム 労務費の適切な転嫁のための価額交渉に関する指針
エネルギー他コストや賃上げ原資の確保を含め、適切な価格転嫁は経済の好循環の実現のため、不可欠です。令和5年の賃上げ率は30年ぶりの高い伸びとなりましたが、急激な物価上昇に賃金が追い付いていない状況です。
物価上昇を乗り越え、持続的に賃上げを実施し、中小企業が賃上げの原資を確保できる取引環境を整備するため、内閣官房と公正取引委員会は、中小企業の賃上げの原資を確保するための「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日)を策定しました。
これは、労務費の転嫁に関する事業者・受注者双方の立場からの行動指針であって、発注者と受注者が採るべき行動、求められる行動を12の行動指針として取りまとめたものです。
【発注者の指針 6項目】
- 経営トップの関与
- 発注者側からの定期的な協議の実施
- 説明・資料を求める場合は公表資料とすること
- サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を行うこと
- 要請があれば協議のテーブルにつくこと
- 必要に応じ考え方を提案すること
【受注者の指針 4項目】
- 相談窓口の活用
- 根拠とする資料
- 値上げ要請のタイミング
- 発注者からの価格提示を待たずに、自ら希望する額を提示する
【双方の指針 2項目】
- 定期的なコミュニケーション
- 交渉記録の作成及び双方での保管
今後、内閣官房は、各関係界等の協力を得て、本指針の周知活動を実施し、公正取引委員会では、指針に沿わない行為等については、独占禁止法及び下請代金法に基づき、厳正に対処していくとしています。賃上げの環境が整うことを期待したいところです。 (以上)