2023.04.03 コラム 事業承継税制の特例措置のための計画提出期限が迫っています
平成30年度税制改正で導入された法人版事業承継税制の特例措置ですが、一般措置とは異なり、対象株数の上限を撤廃し、納税猶予割合を100%とするなど、大きなメリットがあります。
適用対象は平成30年(2018年)1月1日から令和9年(2027年)12月31日までの10年間に実施された承継と限られています。
その適用の前提として、令和6年(2024年)3月31日までに「特例承継計画」を作成し、都道府県に提出することが条件となっています。
特例承継計画が提出期限内に提出されていなければ、その後、事業承継税制の特例措置を適用しようと考えたとしても、適用できません。この特例承継計画の提出期限が残りわずか1年に迫っています。
特例承継計画を提出したからといって必ずしも特例措置による事業承継を行う必要はありません。罰則もなく、とりあえず計画提出という選択もあります。少しでもこの特例措置を使う可能性があれば、期限までに「特例承継計画」の提出を検討してみてはいかがでしょう。
特例承継計画には、後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継時までの経営見通しや承継後5年間の事業計画等を記載し、税理士等認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要があります。特に経営に参画していない後継者にとっては承継する企業の課題、承継後5年間の事業計画等の記載は必ずしも簡単とは言えません。
また、この特例承継計画には、後継者の氏名を記載することが必須となっています。社内・社外に関係なく最大3人まで記載することができますが、名前のない人は事業承継税制の特例措置の対象にはなりません。このため、現時点で後継者が決まっていない場合には計画の提出を躊躇する向きもあろうかと思います。
しかし、再び認定経営革新等支援機関の助言指導は必要なものの、変更申請書を提出することで後継者やその人数、事業計画の内容等を変更することもできます。この変更申請書の提出は、特例承継計画の提出期限後であっても可能です。
特例措置の利用を少しでも検討しているのであれば、すぐにでも「特例承継計画」の提出について認定経営革新等支援機関に相談してみましょう。