2025.08.01 お知らせ 新リース会計基準 中小企業への影響
🔷1.中小企業への影響
- 中小企業は「中小企業の会計に関する指針」に基づき、従来どおりの賃貸借処理等の会計処理が可能です。
- 税務上は、賃貸借処理による支払いリース料がリース期間定額法に基づく償却限度額と同額である限り、申告調整は不要となります。
※新リース会計基準を適用する場合は、法人税等の税務申告についても注意が必要です。
→中小企業については従来の会計処理でも問題ないため、影響は小さいと言えます。
一方で上場企業等は、会計処理等変更点があります。
🔷 2.対象企業
- 上場企業など金融商品取引法の適用を受ける企業とその子会社・関連会社
- 会計監査人を設定する企業
(会社法上、会計監査人を設置する企業の監査人は会計基準に基づいて監査することから会計監査を設置する企業とその子会社も対象となります)
具体的には以下の条件を満たす企業です。
・大会社(資本金が5億円以上、または負債総額が200億円以上の株式会社)
・監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社
・会計監査人の任意設置を行った企業
(規模に関わらず、定款に定めることで会計監査任を任意設置している会社)
🔷 3. 適用開始
2027年4月1日以降開始される事業年度から
🔷 4. 主な変更点
【①】リース取引の区分を廃止(原則オンバランス処理)
現行 | 新基準 | |
リース区分 | ファイナンス/オペレーティングに区分 | 区分を廃止 |
会計処理 | ファイナンスは資産計上 オペレーティングは費用処理 | 原則すべて資産・負債として計上(オンバランス) |
※ただし、「短期リース」「少額リース」は例外で費用計上が認められます。
【②】財務報告における表示
以下の科目を用います。
- 使用権資産
- リース負債
- 利息費用
【③】リースの定義が明確に
「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約または契約の一部分」をリースと定義し、以下の3点で判断します。
・資産が特定されているか |
・経済的利益のほとんどを享受できるか |
・資産の使い方を指示する権利があるか |
契約書に「リース」と記載がなくても全てリースとなるため、今まで「リース」と認識されていなかったレンタル契約や不動産賃貸契約でも、改正後は「リースが含まれる」と判断される可能性があります。
🔷 5. 法人税等の税務申告への影響
令和7年税制改正大綱で、新リース会計基準と税法の対応がされないことが明らかになりました。借手の処理について、オペレーティング・リース取引においては、支払金額のうち債務の確定した部分の金額をその確定日の属する事業年度に損金算入することとされました。このため、税務と会計が不一致の状態となり別表による所得調整が必要(税効果会計の対象)となります。
✅ 全体のまとめ
制定の目的 | 国際基準(IFRS)と整合性を取るため |
適用時期 | 2027年4月以降開始事業年度から |
主な変更 | 区分廃止、全リースを原則オンバランス、開示要件、実質判断でリース識別 |
税務上の扱い | 会計と一致せず、所得調整が必要に |
参考 2027年4月から強制適用となる「新リース会計基準」について
https://www.crossroad.or.jp/column/2282/
新リース会計基準対応徹底ガイド!